津田塾大学「新5000円札効果」で復権なるか、受験界隈で注目集まる ブランド力は健在も人気に陰り、問われる女子大の存在意義

 7月3日より、いよいよ新紙幣が登場。自動販売機や自動券売機関連業界には特需が生まれ、キャッシュレス化が一気に進む期待感もあるが、まったく別の理由でザワついているのが受験業界だ。5000円札の肖像画に津田梅子が採用されたことで、彼女が創設した津田塾大学の志望動向に何か変化が出るか、受験生を含めて関心が集まっているという。

【画像】津田梅子が肖像に選ばれた新5000円札

 津田塾大学は1900年、女子高等教育機関「女子英学塾」として設立され、1933年に「津田英学塾」に改称。1948年に津田塾大学になった。卒業生には、女性初の官房長官となった森山真弓氏、赤松良子元文部大臣、DeNA創業者の南場智子氏などがおり、政財界を中心に多彩な人材を輩出しているが、偏差値という側面から見れば、存在感が低下している印象は免れない。大学受験事情に詳しい個人塾経営者は言う。

「第二次ベビーブーム世代が大学受験に臨んだ1990年代前半、津田塾大学は間違いなく超難関大学でした。大手予備校が示す偏差値は70を上回り、『女の東大』と呼ばれ、私立女子大の最高峰として君臨。早稲田や慶応を蹴って津田塾を選ぶ女子も珍しくありませんでした。しかし徐々に人気が下がり、最新の偏差値はMARCHはおろか日東駒専レベルにまで急速に低下しています。

 津田塾に限らず女子大は全体的に人気が下がっており、短大に至っては壊滅状態。受験生の共学志向は極めて強く、女子大は存亡の危機にあるといっても過言ではありません」

女子大の存在意義が問われる中で…

 しかし今回、津田梅子が新札の肖像画に採用されたことで、津田が積極的にメディアで取り上げられ、津田塾大学にもスポットライトが当たるのは必至だ。

「津田塾は確かに偏差値こそかなり下がりましたが、知名度は高く、就職市場での評価は依然として高い。これは単純に採用側が“津田塾黄金時代”を知る世代だということもありますが、とにかくマジメでしっかりしているイメージが強く、まだまだ学校名にブランド力はあります。その一方で偏差値は大東亜帝国レベルと変わらぬ学部もあり、偏差値と実態が乖離している。そうした背景もあって、2025年度入試で“新札バブル”が起きる可能性もあるかもしれません」(ビジネス誌記者)

 だが昨今、世の中ではジェンダーレス化が急速に進んでおり、女子大の置かれた状況は厳しい。たとえば男女別学の県立高校が存在する埼玉県では、共学化への議論が盛んに行われている。そんななか、「あえて女子大」を選んだ学生は、人生の節々で「なぜ女子大?」と問われる機会が増えていくだろう。

「近年の女子大学長のインタビューを見ると、判で押したようにぶつけられるのが『今の時代、女子大は必要ですか?』という質問。そこで見られるのは“女子だけで過ごすからこそジェンダーバイアスから解放される”“学内に色々な女性のロールモデルがいる”といった答えですが、女子大を選んだ者は、就職面接に限らず様々な場面で、そういった質問に晒されがち。そこでは丁寧な“理論武装”が要求されます。

 その一方で、ジェンダーギャップが解消すれば、女子大はいよいよ存在意義を失います。将来的に津田塾が共学化するようなことがあれば、母校はワンオブゼムとして埋没しかねない。そういった女子大ならではの課題に直面していることは間違いありません」

 とりあえず5000円札の“広告効果”はいかほどか。(了)

2024-07-03T06:30:54Z dg43tfdfdgfd